–––––– § フレーバーの説明 § ––––––
台湾山茶は、一般的な紅茶に比べて収斂性(しゅうれんせい=渋み)が控えめで、まろやかで淹れ直しにも強いのが特徴です。
このお茶には、紅茶に見られる乾草のような香りに加え、デーツ(なつめやし)のような発酵した果実香、ミントのような清涼感、そして蜂蜜のような甘く長い余韻が感じられます。
茶湯からは、大地そのものを思わせるような原始的な土の香りも立ち上がり、これは古木や喬木(高木)品種のお茶にしばしば見られる風味です。
–––––– § 茶種の紹介 § ––––––
台湾で茶が初めて記録されたのは1645年、オランダ人が茶樹を発見したという文献から始まります。1697年には郁永河の『裨海紀遊』において、現在の日月潭(德化社)周辺で丈余りの高さの野生茶樹が生育していたと記録されています。これらの茶樹は大型の葉を持つ高木で、当時はすべて野生のままで、簡単な加工を経て飲用されていました。
その後、日本統治時代になってようやく、台湾の野生茶に対する栽培・研究が科学的に進みました。平鎮茶業試験場は野生の山茶を魚池の紅茶試験所に移植し、インドのアッサム種との比較を行いました。その結果、台湾の野生山茶は中国やインドの大葉種とも異なる固有種であることが確認され、「山茶」と「赤芽山茶」の2種に分類されました。
しかし1986年の再研究により、現在では「台湾山茶は1種類のみである」という見解が有力です。
現在、台湾山茶の自生地は主に南投、嘉義、高雄、台東に広がっており、標高約700〜1780メートルの地域で育まれています。
このお茶は、自然放置(野放)された茶園で採れた茶葉を使用し、無農薬・無肥料の自然農法で育てられました。大葉種を使用していますが、製法により、小葉種のような繊細な口当たりに仕上がっています。
–––––– § 三径就荒のお茶 § ––––––
三径就荒では、すべての選茶に専用の「茶カード」をご用意しています。製造工程、歴史的背景、製茶師の信念、風味の特徴を丁寧に記録し、第一煎から第五煎までの抽出時間と温度も綿密に試験し記載しました。
この「茶カード」とともに、お贈りする方の想いが受け取る方へ自然と伝わり、お茶の持つ本来の風味を最大限に楽しんでいただけるように設計されています。
言葉はいりません。
自分の味覚を信じて、一杯の茶と向き合いましょう。雲と霧、大地と雨、そして製茶師の力強く温かな手から生まれた、ひとつの物語を感じ取ってください。
パッケージは、古くから使われてきた魚籠や縄の手提げ袋から着想を得て、手触りの良い淡いグレーの紙とシャープなカットで現代的に表現しました。上品な金箔ラベルには、風味番号(味の濃淡)とフレーバー説明が明記されており、贈る相手の好みに合わせて簡単にお選びいただけます。
内容物:※ 野生台湾原生山茶 35g ※ 茶カード 1枚