–––––– § フレーバーの説明 § ––––––
16年にわたる熟成を経たこの鉄観音は、かつての強い焙煎香が和らぎ、代わりに豊かな熟成変化、濃厚なコク、そして深みのある余韻が現れました。
茶湯を口に含むと、武夷種特有のスパイスのような香り、繊細なナツメの酸味、そして温かみのあるバターのような香りが広がります。お茶が冷めると、よりはっきりとした紅棗(ナツメ)の香りとキャラメルのような蜜の甘さが際立ち、まるで中煎りのシングルオリジン・ブラックコーヒーのような印象を与えてくれます。
口当たりは厚みがあり、後味の香りは長く続きます。
–––––– § 茶種の紹介 § ––––––
鉄観音はもともと茶樹の品種名でしたが、やがて製法やスタイルを表す商品名としても使われるようになりました。
台湾での鉄観音茶は、日治時代に木柵茶業公司の張迺妙・張迺乾兄弟が中国・安渓から苗木を持ち帰ったのが始まりです。製法は安渓鉄観音に近いものの、100年近くの歳月の中で、台湾特有の土壌・気候・日差し・空気によって、独自の風味が育まれました。
鉄観音の茶園では、摘採時期をずらすために、四季春・武夷・金萱など他の品種も同時に栽培されることが一般的です。
伝統的な鉄観音品種によるお茶は高発酵・強焙煎が特徴で、茶葉は重く、開いた時に葉の表面にシワがあり、葉脈は中央からずれていて、枝は短く太めです。茶湯は濃厚でコクがあり、「観音韻」と呼ばれる特有の香気を持ちます。酸味を帯びたナツメ香が印象的で、「七煎しても香りが残る」と言われるほどです。
また、他の品種で作られた鉄観音でも、発酵と焙煎による深みのある香ばしさを楽しむことができます。たとえば金萱はクリーミーなバター香、武夷種はスパイシーな芳香を持ち、それぞれに異なる個性が光ります。
–––––– § 三径就荒のお茶 § ––––––
三径就荒では、すべての選茶に専用の「茶カード」をご用意しています。製茶の過程、歴史的背景、製茶師の理念、香りや味の特徴を丁寧に記録し、さらに第一煎から第五煎までの抽出時間と温度を試行錯誤の末に記載しました。
この「茶カード」とともに、贈る人の想いが受け取る方へ自然と伝わり、そのお茶の本当の美味しさを最大限に引き出せるよう工夫されています。
言葉はもう要りません。
自分の味覚を信じて、一杯のお茶にじっくり向き合いましょう。雲と霧、大地と雨、そして製茶師の力強く温かな手から紡がれた物語を、心で感じてください。
古来の魚籠や縄結びの手提げ袋から着想を得て、手触りの良い淡灰色の紙とシャープな現代的デザインで仕上げたパッケージ。上品な金箔のラベルには風味番号(味の濃淡)と風味説明が明記されており、贈る相手の好みに応じて簡単にお選びいただけます。
内容物:※ 陳年鉄観音 100g ※ 茶カード 1枚